山深き奥三河地方の中でも南に位置する新城市。新東名新城ICの開通により名古屋や関東方面からのアクセスも抜群に良くなり、山遊びをするにはとても身近なフィールドになりました。今回はその中でも割とマイナーなコースをご紹介。長文ですのでトレランをやるような気持ちで読んでくださいね。
日時:2017年6月23日
コース:鳳来寺山登山口〜鳳来寺〜鳳来寺山山頂〜玖老勢(くろぜ)峠〜棚山高原〜宇連山山頂(西尾根経由)の往復コース
行動スタイル:トレラン〜ファストパッキング
計測方法:SUUNTO ambit 3 peakにて計測(このブログ内のタイムや距離は全てこの時計での計測データとします。)
当日の気温(新城市中心部):スタート時(am9:00) 25℃ / ピーク時(pm2:00) 28℃
持ち物:
【食料】スポーツドリンク 3L / エナジーバー 4本 / おにぎり 3個 / パウンドケーキ 4片 /
【装備】トレラン用ザック12L / エマージェンシーキット / ケータイ用ポータブルバッテリー / 熊鈴 / ポイズンリムーバー / ウィンドシェル /
【服装】Tシャツ(ウール混)/ ドライインナー / 短パン / キャップ / サングラス
《概要》
タイトルにある通り、このコースは過酷です。ハッキリ言って、かなり辛いです。正直言って、初級者には全くおすすめできません。それなりの覚悟を持って臨まねばいけないのです。全体的に眺望の開けるポイントは限られていて、せいぜい4箇所。コースのアップダウンは尋常ではなく、約17kmの行程で累積標高1700m超え。休憩も含めたらこの距離に5時間10分もかかっている。それだけの時間にもかかわらず水場は皆無(自販機なども当然ない)。体を冷やす場所もないので夏場の体温調整はかなり厳しい。そしてエスケープルートもあまりなく、行ったら帰ってこないといけない。もはや何のためにここに行って誰のために書いているのかわからなくなってきた。。。でも敢えて言おう、ここにはそれらを補って余りある魅力がある!キツイのが好きな人、集まれ!ここに全貌を紹介するよ。
セクション①【鳳来寺山登山口〜鳳来寺本堂】
区間:約1km / 16分
《修行の石段》
県道32号沿いにある門谷地区の入り口に車を止め、鳳来寺山の登山口まで徒歩で進む。ギャラリーやカフェ、などが点在する道を約10分ほど進むと登山口に到着(ここはタイムに含まず)。
スタートは午前9時ちょうど。さて、のっけから石段。登山口から山腹にある鳳来寺まで、1452段の修行です。16分で到着。本堂脇の展望のひらけたところから写真を撮って足早にトレイルに戻る。

車をデポ。

風情ある街並みを登山口に向けて歩く

自然科学博物館にある看板。登山マップとはいえ、距離やタイムの記述はなし

スタート地点

仁王門を超え

傘すぎに導かれ

鳳来寺に迎えられる

鳳来寺からのヴュー。緑しか見えない
セクション②【鳳来寺本堂〜鳳来寺山山頂】
区間:約1km / 28分
合計:約2.2km / 44分
《ここからが本格的なスタート》
本堂脇の階段から、鳳来寺山山頂を目指す。この辺りは水が多く、岩盤質な地面と相まってとても滑りやすいので要注意。特に下りは危ない。岩伝いに水の滴る場所があり、そこが唯一体を冷やせるポイント。と言ってもスタート直後もしくはゴール寸前であり、あまり意味がない。
ここのセクションは眺望の少なさや鉄階段の多さから、決して心楽しいところではない。そして急峻である。
途中にある絶景ポイントは、おそらくこの道中で一番のもの。新城市街も見える。

ここからコースは本格化

階段の終わりあたりを左に折れる

なかなかの眺望

山頂広場入り口

鳳来寺山山頂。左手に進む。
セクション③【鳳来寺山山頂〜玖老勢(くろぜ)峠】
区間:約2.1km / 28分
合計:約4.3km / 1h12分
《250m降り続ける》
ひたすら下る。とにかく下る。だからって飛ばすと後に響くので、とにかくゆっくり行くべし。むしろ足場が細くて飛ばすと危ないので慎重に進みましょう。途中、ひらけた場所では右手に明神山などが見え、いいリフレッシュに。このセクションは玖老勢峠まで一気に降りる。

こちら側は山しか見えぬ

これぞ奥三河なルート

クロ岩

階段を降りたら玖老勢峠。ここから地獄の登り返し

玖老勢峠
セクション④【玖老勢峠〜棚山高原】
区間:約1km / 25分
合計:約5.3km / 1h37分
《1kmで約280m登る》
ここは本当にキツイよ。写真では伝わらないが、壁のような斜面のスイッチバックを延々と登る。苦行以外の何物でもない。語ることもない。

写真じゃ伝わらないこの絶望感

地獄の登りをメイクしたら棚山高原に合流。右手に折れて宇連山西尾根を目指す。OSJ新城32kで通るコース
セクション⑤【棚山高原〜宇連山山頂(西尾根経由)】
区間:約3.7km / 1h13分
合計:約9km / 2h50分
《細かいアップダウンの連続。下りはゆるゆる登りは壁》
このセクションは毎年3月に開催されるOSJ新城トレイル32kのコース。私もよく出場する馴染みの大会です。高原というとなぜか、背丈の低い草や芝で覆われただだっ広い空間に風がそよぐ爽やかな光景を目に浮かべるかと思いますが、ここではそんなこと忘れてください。相変わらず眺望はまれ、代わりに風もあまりない。このルートで行くと、下りはなだらかなのですが三回ほど壁が現れます。高原が平らだなんて誰が言った!?
ここで少し休憩をとりました。暑さにやられ気味になり、パワーが出ない。時計を進めたままおそらく10〜15分ほどレスト。
宇連山西尾根に合流したら左に折れて残り1kmのラストアタック。宇連山はもうすぐそこ!

圧倒的に地味な棚山山頂

振り返ってもあくまでも地味

ところどころナイス眺望

宇連山西尾根分岐。左に折れて山頂を目指す。右に折れると南尾根経由で愛知県民の森に繋がる。こちらがOSJ新城32kの後半パート

分岐から約1km。宇連山をメイク!
セクション⑥【宇連山山頂(西尾根経由)〜棚山高原】
区間:約3.7km / 1h00分
合計:約12.7km / 3h50分
《下り中心で、ルート上では最も楽しめるファンセクション》
宇連山山頂でおにぎりを食べようとするやいなや、ハエ様の猛攻撃にあい戦意喪失。すぐに帰りのパートをスタートしました。これが後々仇となるのですが。
さて、往路で苦労した分、復路は楽しめるセクション。気持ちいい下りをのんびりとゆく。と思いきや、このあたりから内側から来る敵に苦しめられることに。
まずは暑さ。水分補給はバッチリできているものの、この時期にもなると体温上昇はかなり過酷で、オーバーヒート気味。これが案外苦しい。このコースでは水に触れられるところがなく、対処のしようがないのです。
続いてエネルギー。かなりのアップダウンのあるコースなのでエネルギー消費も激しく、行動中にエナジーバーを食べ続けても追いつかなくなっていたのでしょう。山頂でおにぎりを逃したことも響き始めていると思われます。
パワーが出なくなってきたことで、ペースをさらに落とし、エナジーセーブモード起動。何せエスケープルートがほとんどなく、自分で帰らなければいけないのですからね。

復路はこの分岐を右に折れる

棚山高原終了。玖老勢峠の急降下が始まる
セクション⑦【棚山高原〜玖老勢峠】
区間:約1km / 14分
合計:約13.7km / 4h04分
《1kmで約280m下る》
激しく登ったということは激しく下るということ。足が疲れてきたら要注意です。疲労により後ろ足の踏ん張りがきかなくなってくると、踏み出した足の筋肉にかかる負担が大きくなり、余計に筋肉が破壊され、疲労の負のスパイラルに陥っていきます。そんな中でこの下り。気をつけて行ってくださいね。焦らず急がずゆっくりと。
そしてこの先の玖老勢峠からは鳳来寺山に向けて登り返すことになるのですが、どうしてももう登る気力がないという場合、玖老勢峠の分岐を右に折れると玖老勢集落に下ることができます。しかしここからロードでスタート地点に戻るのもこれまた過酷。とくにこの時期、下界では灼熱のアスファルトが待っていますからね。

ジェットコースターのような急降下。先が見えない

どうしてももう登りたくなければここを右に折れれば玖老勢の集落へ下ることができる
セクション⑧【玖老勢峠〜鳳来寺山山頂】
区間:約2.1km / 40分
合計:約4.3km / 4h44分
《犬も戻るほどの険しい登り》
さて、最後のひと踏ん張り。ここを登ればもうあと少し。道はあくまでも険しいが、ゆっくりと時間をかけてでも、一歩を踏み出し続ければいずれたどり着くのが山というもの。

そりゃ犬も戻って来るよね、こんだけ険しいと

鳳来寺山山頂
セクション⑨【鳳来寺山山頂〜鳳来寺本堂】
区間:約1km / 16分
合計:約16.8km / 5h00分
《ようやく体を冷やせた。もう一息でゴール》
もう登りはない。下るだけ。ただこのセクションは岩や石も多く、水が出ているところもあるため滑りやすい。ゴール間近で気を抜きがちにもなるので、特に気をつけていかなければ。
ここでようやく体を冷やせる。気持ちも一気に蘇る。もうすぐ終わりだけど。

唯一体を冷やせる場所。だいぶ遅いけどね

鳳来寺に戻ってきた。ここもよく滑るから注意!
セクション⑩【鳳来寺本堂〜鳳来寺山登山口】
区間:約1km / 12分
合計:約17.8km / 5h12分
《石段は下るのも足にくるね》
最後のセクションは延々と石段を下る。心拍は上がらないけど疲れた足にはよく響く。気をぬくと転げ落ちるのであくまで慎重に。

ゴール!
17.8km、累積標高1750m、5時間12分の濃密な旅が終わりました。総じてなかなかにハードなコースです。
ただ、ガツンと登るコースが好きな方ならかなりおいしいところでもあります。チャレンジしてみたい方がいましたらいつでもアテンドしますので、お声かけお待ちしております。
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